帝国データバンクが2026年8月31日に公表した価格改定動向調査によると、2026年9月に値上げが予定されている食品は4,923品目です。2026年の単月では最も多く、前年9月の1,467品目から約3倍に増えました。
単月で4,000品目を超えたのは2025年4月(4,225品目)以来で、2022年以降では4番目の多さです。
多いのは調味料と加工食品で、この2分野だけで3,807品目を占めます。ただし、この4,923品目はスーパーに並ぶ全商品を数えた数字ではありません。主要な食品メーカー195社が発表した内容をもとにした集計です。
値上げの日付もメーカーごとに違います。9月1日納品分からのところもあれば、9月以降順次のところ、9月14日の発売分からというところもあります。

4,923品目は何を数えた数字か
帝国データバンクの調査対象は、主要な食品メーカー195社です。この195社が公表した価格改定を積み上げた結果が4,923品目で、市場に流通する食品すべてを調べたものではありません。少なくとも今回の公表資料には、調査対象の全社名と4,923品目の全商品一覧は掲載されていません。
数え方にも決まりがあります。同じ商品でも年内に2回値上げされれば、それぞれ別の品目として数えます。価格を据え置いたまま内容量を減らす「実質値上げ」も対象に含まれます。
平均値上げ率は月平均11%と発表されていますが、これは値上げ1回あたりの平均です。各商品が一律に11%上がるわけでも、家庭の食費が11%増えるわけでもありません。しかも発表時点の最大値を採用した数字なので、実際の改定率が平均より低い商品も含まれています。
分野別では調味料と加工食品が多い
9月の内訳は、調査資料(PDF)に掲載されている7分野の表のとおりです。
| 分野 | 品目数 |
|---|---|
| 調味料 | 1,959品目 |
| 加工食品 | 1,848品目 |
| 酒類・飲料 | 466品目 |
| 乳製品 | 278品目 |
| 菓子 | 272品目 |
| パン | 100品目 |
| 原材料 | 0品目 |
| 合計 | 4,923品目 |
調味料と加工食品を合わせると、全体の約77%です。しょうゆ、つゆ、たれといった日常的に使う調味料と、冷凍食品や練り製品などの加工食品が中心になります。
調査が挙げている値上げの要因は次のとおりです。1社が複数の要因を挙げているため、合計しても100%にはなりません。
- 原材料高:90.7%
- 物流費:65.7%
- エネルギー:65.1%
- 包装・資材:63.1%
- 人件費:51.3%
- 中東情勢:27.8%
- 円安:7.5%
9月に価格改定を発表しているメーカーの例
以下は各社が公式に発表した内容です。帝国データバンクの4,923品目にこれらが含まれるかどうかは、公開されている資料だけでは一つひとつ照合できないため、ここでは「9月の公式改定例」として扱います。
キッコーマン:しょうゆ・つゆ・たれなど
キッコーマンは9月1日納品分から、しょうゆ類153アイテム、つゆ類47アイテム、たれ類47アイテム、デルモンテ飲料12アイテム、みりん類や発酵うまみ調味料など32アイテムの希望小売価格を改定します。
改定率はしょうゆ類が5〜9%、つゆ類が5〜22%、たれ類が6〜11%、飲料が4〜13%、その他が2〜8%です。
発表には「希望小売価格は、あくまで参考価格で、小売業の自主的な価格設定をなんら拘束するものではありません」という注記があります。メーカーが示す価格と、店で実際に付く値札は別物です。
ニッスイ:冷凍食品・加工食品など
ニッスイは9月1日納品分から出荷価格を改定します。改定率は家庭用冷凍食品が約2〜17%、家庭用加工食品が約5〜17%、業務用冷凍食品が約2〜30%です。
出荷価格はメーカーが流通業者へ販売する価格で、店頭価格ではありません。家庭用商品はいずれもオープン価格のため、メーカーは小売価格を示していません。一部規格変更を伴う商品や、上記の改定率を超える商品も含まれます。
大塚食品・クラシエ:新旧の希望小売価格が公表されている例
商品ごとの新旧価格まで公表しているメーカーもあります。値上げ額を具体的に把握したい場合は、こうした発表が手がかりになります。
| メーカー | 商品 | 旧価格(税別) | 新価格(税別) |
|---|---|---|---|
| 大塚食品 | MATCH 500mlペットボトル | 166円 | 185円 |
| 大塚食品 | シンビーノ ジャワティストレート 500ml | 166円 | 185円 |
| クラシエ | ヨーロピアンシュガーコーンバニラ 56ml×5個 | 450円 | 500円 |
| クラシエ | しずくゆず/しずくりんご 140ml | 180円 | 190円 |
いずれも希望小売価格です。大塚食品は9月1日納品分から、クラシエは9月1日からの改定で、クラシエの対象は商品一覧(PDF)に載っている3品です。MATCH 500mlは税込で見ると179円から200円になります。
明治:価格だけでなく内容量が変わる商品もある
明治の発表は、37品すべてが9月1日に同じ方法で改定されるわけではありません。9月1日納品分から出荷価格を改定するのは、栄養食品17品とスポーツ栄養のグッズ5品です。改定率は栄養食品が約5〜10%、スポーツグッズが約8〜20%とされています。
残る15品は価格改定ではなく、次の内容量変更です。
- ザバス アクア ホエイプロテイン100:800g→700g(約13%減)/2026年9月以降順次
- ザバス BIOPRO ホエイプロテイン100:900g→700g(約22%減)/2026年9月以降順次
- 辻利 お濃い抹茶<スティックマルチ>:40ml×7本→6本(約14%減)/2026年9月14日発売分
値札の数字が変わらなくても、1回あたりの量が減れば実質的な負担は増えます。帝国データバンクの集計でも、この種の実質値上げは値上げ品目として数えられています。

すべての商品が9月1日に上がるわけではない
発表でよく使われる「納品分」「出荷分」は、メーカー側の取引時点を基準にした表現です。店頭価格の変更日を示す言葉ではなく、店に並ぶ商品が入れ替わり、値札が書き換わるまでには時間差があります。
明治のように9月以降順次、あるいは9月14日発売分からという商品もあります。同じ9月の値上げでも、実際に価格が変わる日は商品ごとに違います。
店頭で価格を見るときに知っておきたい3つの言葉
メーカーの発表を読むときは、どの価格の話なのかで意味が変わります。
- 希望小売価格:メーカーが示す参考価格。小売店を拘束しないため、実際の売価はこれより高いことも安いこともあります
- 出荷価格:メーカーが流通業者へ販売する価格。消費者が支払う金額ではありません
- オープン価格:メーカーが小売価格を示さない方式。売価は店舗が決めるため、発表からは値上げ後の金額が分かりません
ニッスイの家庭用商品のようにオープン価格の場合、改定率だけが示され、いくらになるかは店頭で確認することになります。
今できること
9月の値上げは、必要な量を超えて買い込む理由にはなりません。対象は商品ごとに違い、店頭の値札がいつ変わるかにも店舗差があります。
まとめ買いした分を使い切れなければ、値上げ前に買っても支出は減りません。冷凍食品やアイスのように保管場所を取るものは、家の在庫を見てから量を決めるほうが無駄が出ません。
値上げの告知そのものをどう読むかは、値上げのお知らせを見たら何を確認する?で対象・新旧価格・実施日のチェック項目をまとめています。
10月以降も値上げは続く見通し
2026年1〜11月に判明している値上げは19,083品目です。10月は3,033品目で単月3,000品目超え、11月は現時点で659品目が判明しています。
11月分はこれから発表が増えるため、数字は動きます。調査は、2026年の年間累計が前年並みの2万品目台で推移し、前年の累計を上回るとみています。
まとめ
2026年9月に値上げが予定されている食品は4,923品目で、調味料と加工食品が中心です。主要メーカー195社の発表をまとめた数字で、全商品を調べたものでも、9月1日に店頭価格が一斉に変わるという意味でもありません。
「平均11%」も、値上げ1回あたりの平均であり、家計の食費がそのまま11%増えるわけではありません。価格は据え置いたまま内容量を減らす商品もあります。
自分に関係する値上げを確かめるには、よく買う商品のメーカー発表と、売り場の値札・内容量を見るのが確実です。
出典
- 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査―2026年9月」(2026年8月31日公表/2026年9月1日確認)
- 同調査PDF(2026年9月1日確認)
- キッコーマン「商品の価格改定について」(2026年6月1日発表/2026年9月1日確認)
- ニッスイ「家庭用冷凍食品・加工食品等の出荷価格改定について」(2026年6月1日発表/2026年9月1日確認)
- 大塚食品「一部製品の価格改定について」(2026年7月13日発表/2026年9月1日確認)
- クラシエ「アイスクリーム商品の価格改定について」/価格改定商品一覧(2026年7月31日発表/2026年9月1日確認)
- 明治「価格改定および内容量変更について」(2026年7月28日発表/2026年9月1日確認)

